なんとこのワセリンが水虫の民間療法で使われているようです。
いったいどういう方法なのか、本当に水虫に効果はあるのかをご紹介したいと思います。
「ワセリン」って「ヴァセリン」と同じ?
「ワセリン」と「ヴァセリン」って違いがあるの?と疑問のある方もいらっしゃると思うので、ワセリンの種類を整理したいと思います。

ワセリンとは石油を原料とし、不純物を取り除いて精製したもので、いわば「保湿効果のある油」です
精製度の順でいうと以下のようになります。
黄色ワセリン(ヴァセリン)<白色ワセリン<プロペト<サンホワイト
ヴァセリンとは?
カテゴリーとしては黄色ワセリン、「化粧品」の部類に入ります。一番よく見かけるワセリンではないでしょうか?
白色ワセリンとは?
「白色ワセリン」とは、精製度が高く、不純物が少ない、純度の高いワセリンを指す一般名称です。
白色ワセリンは病院で処方されるものと、処方箋なしでもドラッグストアやネットで買えるものがあります。
プロペトとは?
「プロペト」は白色ワセリンの一種で、とても高純度のワセリンです。
病院で処方される「プロペト」と、処方箋がなくてもドラッグストアやネットで買える「プロペトホーム」があり、どちらも同じ成分です。
サンホワイトとは?
「サンホワイト」とは、一般的な白色ワセリンを更に精製して不純物を取り除いた高品質の白色ワセリンです。
日興リカという会社が作っていて、最高品質なのに医薬品扱いではないんですよ。
高品質とあって、値段は他のワセリンに比べてかなり高くなります。
サリチル酸ワセリンとは?
「サリチル酸ワセリン」はこれまでご紹介したワセリンとは少し異なります。
「角質軟化溶解作用」という皮膚を溶かすというと少し怖いですが、皮膚を柔らかくする効果と弱い抗菌作用があるワセリンです。
サリチル酸ワセリンは、5%と10%の濃度のものがあり、病院での処方箋が必要な医薬品です。
では次にワセリンの効果について、みてみましょう。
ワセリンの効果は?(サリチル酸ワセリン以外)

- ワセリンは皮膚の表面に油分の膜を張って水分の蒸発を防ぐので、皮膚の乾燥を防ぐのに効果的です。
- 皮膚を外からの刺激から守ってくれるという効果があり、鎮痛・消炎の軟膏剤といった、医薬品の基剤として使われています。
- リップクリームや化粧クリームなどの基材としても広く用いられています。
副作用としては紫外線による色素沈着、皮膚が弱い方のかぶれ、皮膚の炎症があげられますので、高純度の白色ワセリン以上のものと選ぶことがおすすめです。
やはり一番の効果としては、皮膚の乾燥を防いでくれるということですね。
サリチル酸ワセリンの効果は?
- サリチル酸ワセリンには、皮膚のターンオーバー、新陳代謝を促進する効果があり、ケミカルピーリングにも使われることがあります。
- 皮膚を柔らかくする効果があります。
- 弱い抗菌作用があります。
副作用として皮膚に赤みや痛みが出ることがあります。
では実際にワセリンで水虫が治るのかをみてみましょう。
ワセリンで水虫は治せる?
結論をいうと
残念ながらワセリン自体に水虫である白癬菌という真菌(カビ)をやっつける効果はありません(>_<)
サリチル酸ワセリンには抗菌作用がありますが、水虫専門の薬に比べると弱いものです。
ではどうしてワセリンで水虫が治ると言われているのでしょうか?そのわけはふたつあります。
ワセリンを使った「湿潤療法」で水虫患部の肌の環境を整える
水虫になって足の皮や水ぶくれが破けて、ジュクジュクして傷になっている場合に傷を治して環境を整えてから、抗真菌薬を使って本格的に水虫を殺菌するという方法です。
でも湿潤療法自体には水虫を死滅させる効果はありません。
あくまでも肌を抗真菌薬が効きやすい状態に戻してあげるということです。
抗真菌薬を浸透しやすくする
白癬菌は角質の奥深くにいます。
特に硬い爪の下や、かかとなど皮膚が厚くなっているところは抗真菌薬の塗り薬が白癬菌まで届きにくいので、水虫の薬の浸透力を高めるために一緒に使うと効果が発揮されるでしょう。
どちらの場合でも、純度の高い医薬品の白色ワセリンか、それ以上の高品質のワセリンを使うのが安心です
水虫には抗真菌薬が最も効果的です
趾間型水虫を完治させることができた私のおすすめの水虫治療法は、効果も十分に証明されている「抗真菌薬」を使う方法です。
今薬局で売られているほとんどの水虫薬は1日1回の使用でも効果あるので、薬で本格的に治してみませんか?
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ワセリンを使った湿潤療法とは?
今までずっと「傷は消毒して、ガーゼをあてて乾燥させる」という方法が一番良いといわれていました。
しかし近年になって「湿潤療法」という「消毒しない、乾燥させない」という方法を支持する医療機関も出てきています。
湿潤療法とは
患部をきれい洗った後は傷口からにじみ出てくる体液(浸出液)で傷口を湿った状態にし、この浸出液に含まれる皮膚常在菌などによって健康な細胞が作られるのを助け、自然に早く、痛みもなく傷口を治す方法です。
ODT(occlusive dressing technique)療法、密閉療法などともよばれます。
湿潤療法の注意点

湿潤療法は中途半端な知識で間違った使い方をすると大変な事態を招きます(>_<)
なぜなら傷を湿らせておくということは、細菌(ばい菌)が繁殖しやすい環境でもあるからです。
ひどい場合だと、重い感染症を引き起こす可能性もあります。
一番安心なのは病院で皮膚の状態を見てもらって、湿潤療法を行ってよいかを判断してもらう方法ですが、まずは傷口をよく洗って菌をできるだけ減らすということが大切です。
水虫の湿潤療法の方法
では皮膚がむけたり、ジュクジュクしている水虫に、湿潤療法をどのように行えばよいのか、例をご紹介しますね。
- 細菌をできるだけ取り除くために、患部を水かぬるま湯で低刺激のボディーソープや石鹸の泡でやさしくきれいに洗いましょう。
- タオルで水分をきれいにふき取ります。
- ワセリンをジュクジュクしている患部に塗ります。
- その上からラップを当てます。
- ラップがずれないように肌にやさしい医療用テープや絆創膏でとめます。
- 傷口から液(浸出液)がしみ出てくる場合はガーゼや包帯を上からあてます。
- 1日に1〜2回上記を行い、ラップを新しいものに変えます。
- 傷から液が出ないようになれば水虫薬(抗真菌薬)を使い始めます。
化膿してきたり、痛みがでる時はすぐに使用をやめて、皮膚科でみてもらいましょう。
角質増殖型水虫、爪水虫への密閉療法の方法
角質増殖型水虫や爪水虫は塗り薬が白癬菌に届きにくいのが特徴です。
なので皮膚科で処方される内服薬が一番効果的なのですが、自力で治したい!という方は下記のような方法もあります。
あくまでも民間療法ですので、症状が改善しない場合は皮膚科を受診してくださいね。
- まず足を清潔にしましょう。お風呂に入って足を泡できれいに洗います。足の指の間やかかともやさしくきれいに洗ってください。ゴシゴシと強く洗うと傷がつきますので、石鹸やボディーソープを泡立ててやさしく洗います。
- お風呂から出たらタオルで水分をよくふき取って、足を乾燥させます。
- 白色ワセリンを角質の厚くなった部分、特にかかと、また爪にたっぷり塗ります。
- ワセリンの上からラップをしてワセリンを塗った部分全体を包み込みます。
- そのまま30分~1時間くらいおきます。
- ラップを取り、抗真菌薬の水虫塗り薬を爪、指の間、足の裏全体、かかと、アキレス腱のあたりまで薄く広く塗ります。
なぜならサリチル酸ワセリンには角質を溶かす効果があり、正常な状態の皮膚に塗り続けてしまうと皮膚が薄くなって痛みが出ることがあるからです。
まとめ

ワセリンは副作用が少なく、皮膚の保湿効果も高く、高品質な製品は医療用にも使われていて、比較的安心です。
でも残念ながらワセリン自体に水虫を殺菌する効用はありません…
- ジュクジュクして水虫薬がしみたり、塗っても効き目がない場合にまず皮膚の状態、環境を整えるためにワセリンを使うという方法。
- かかとや爪など抗真菌薬の塗り薬が届きにくいところにワセリンを併用して、患部を柔らかくして水虫薬が浸透しやすくする、という方法で使うのがいいでしょう。
湿潤療法は一般の人が誤った知識で行うと、症状を悪化させたり、感染症を引き起こし、時には重篤な状態になる場合もあります!
そのため、医師のアドバイスのもとに行うのが望ましいです。
最近では「湿潤療法」を浅い傷の治療に取り入れている医療機関もたくさんあるようです。
以上ワセリンを使った民間療法についてご紹介しました!