水虫薬の副作用とはどのようなものがあるのでしょうか?
水虫薬にはたくさんの種類があります。
- 市販薬(薬局やドラッグストアで買える) - 塗り薬のみです
- 処方薬(病院での処方箋が必要)- 塗り薬と飲み薬があります
これって水虫!?と思って薬局やドラッグストアで水虫の外用薬を購入される方も多いと思いますが、副作用が書かれた説明書をじっくり読むことはなかなかないかもしれませんね。
また病院で処方される飲み薬は効果が大変高い半面、薬の飲み合わせなど注意するべき重要なことがあります。
水虫薬を使用する際にはどのようなことに気を付けるべきか、また副作用の症状にはどのようなものがあるかをご紹介したいと思います。
この記事でご紹介しているのは各薬の添付書から抜粋、そして内容をわかりやすく書き直したものです。すべての情報を得たい方はこのページと合わせて使用書を必ず確認して下さいね。薬剤師さんや医師に尋ねるか、ネットで「製品名か一般名」+「添付文書」で検索すると見つけられます。
水虫に効果的な薬とは何?
水虫は「白癬菌症(はくせんきんしょう)」または「皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)」という真菌(しんきん)すなわち「カビ」によって生ずる感染症です。
この真菌(カビ)というのは、ウイルスや細菌とは別のものなんですよ。
- ウイルス -インフルエンザ、ノロウイルス、ヘルペスウイルス など
効果のある薬は「抗ウイルス剤」
- 細菌 - ブドウ球菌、大腸菌、コレラ菌 など
効果のある薬は「抗生物質」
- 真菌 -白癬菌(水虫)、カンジダ など
効果のある薬は「抗真菌薬」
ということで、水虫をやっつけるには「抗真菌薬」という薬が有効です。
抗真菌薬には以下のようなものがあります。これらは一般名といって、薬局で目にしたり、病院で処方される商品名とは異なります。
テルビナフィン、ブテナフィン、ルリコナゾール、ラノコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール
病院での処方薬の有効成分は白癬菌を殺菌する上記の抗真菌薬のみ配合されているのですが、市販の塗り薬には抗真菌薬以外に色々な成分が入っています。
抗真菌薬以外の色々な有効成分によって「かゆみ」に代表されるつらい水虫の症状を和らげてくれるんです。
市販薬に含まれる代表的な「抗真菌薬以外の有効成分」には以下のものがあります。
- リドカイン(かゆみ、痛みをしずめる成分)
- ジブカイン塩酸塩(かゆみ、痛みをしずめる成分)
- ジフェンヒドラミン塩酸塩(かゆみをしずめる成分)
- マレイン酸塩クロルフェニラミン (かゆみをしずめる成分)
- メントール(スーッとしてかゆみをおさえる成分)
- クロタミトン(皮膚に軽い灼熱感の刺激を与え、かゆみをおさえる成分)
- グリチルレチン酸(患部の炎症をおさえる成分)
- イソプロピルメチルフェノール(抗菌、ニオイの元となる菌を殺菌する成分)
- 尿素(皮膚を柔らかくする成分で、薬の浸透を助けます)
では市販薬の塗り薬にはどのような注意書きがあるのか、また副作用はどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
市販薬塗り薬の注意書きと副作用
添付書はどの製品もほぼ同じ内容です。
市販の塗り薬の一般的な添付書に書かれている事項は以下のようなものです。
下記に当てはまる方は使用前に医師、薬剤師にご相談ください
- 医師の治療を受けている人
- 乳幼児
- 薬などによりアレルギー症状をおこしたことがある人
- 患部が顔面又は広範囲の人
- 患部が化膿している人
- 「湿疹(しっしんーかゆみやかぶれ、水ぶくれなどを伴う皮膚炎)」か「水虫、いんきんたむし(デリケートゾーンのあたりの水虫)、ぜにたむし(体の水虫)」かがはっきりしない人
- 妊婦または妊娠している可能性のある人
使用後、次の症状が現れた場合は副作用の可能性があるので、直ちに使用を中止し、この説明書を持って医師、薬剤師にご相談ください
- 皮膚のかぶれ、刺激感、熱感、鱗屑(りんせつ)、落屑(らくせつ)といったフケ、アカのような皮膚のはがれ、ただれ、乾燥、つっぱり感、皮膚の亀裂、痛み、色素沈着、発疹(ぶつぶつ)、発赤(皮膚が赤くなる)、水泡(みずぶくれ)、かゆみ、はれ、じんましん
- 発赤、かゆみ、はれ、じんましんは全身に現れることもあります
そして治療効果がでているかどうかの使用期間の目安としては
- 2週間位使用しても症状がよくならない場合、又、本剤の使用により症状が悪化した場合は医師、薬剤師にご相談下さい
ということです。でも個人的には1週間しても症状が良くならなければ皮膚科を受診するのがいいかと思います。
理由は、水虫だと思っていても他の皮膚疾患の可能性があったり、水虫薬でかぶれている場合もあり、そのまま市販薬を使っていても症状が悪化する可能性があるからです。
塗り薬「ラミシール」の場合の副作用の例
病院で処方される「ラミシール」という塗り薬は抗真菌薬のみ入ったシンプルな薬です。
主な症状は「皮膚炎、そう痒感(かゆみ)、発赤(肌が赤くなる)、刺激感」です。
実は処方箋なしでも同じ成分配合のラミシールクリームとラミシール液を買うことができます、商品名は「ラミシールATクリーム」、「ラミシールAT液」です
「ラミシールプラスクリーム」、「ラミシールプラス液」にはかゆみ止め成分などが入っていますのでお間違えの無いように(*^^*)
処方薬飲み薬の注意書きと副作用
かかとがガサガサになって角質が厚くなる「角質増殖型」や爪に白癬菌が侵入して感染する「爪水虫」は厚い角質や硬い爪のために塗り薬が浸透しにくいので飲み薬を処方されることがよくあります。
飲み薬はラミシールとイトラコナゾールがよく知られているものですが、飲み薬には塗り薬よりさらなる注意が必要です。
ラミシールは先ほどご紹介した塗り薬と同じ名前でややこしいですね。。どちらも「テルビナフィン」という成分が入っている薬なのですが、ここで取り上げているラミシールは塗り薬ではなく錠剤の飲み薬です。
専門医に現在使用中の薬をすべて伝え、十分注意点や副作用を聞き、不明な点はすべて質問しましょう。そして正しい使用法で薬を内服することで安全性が高まります。
他の病気で診察を受ける際も水虫の飲み薬を内服している点を伝えるのも忘れずに!
処方薬の飲み薬ラミシールの注意書きと副作用
警告
重篤な肝障害(肝不全、肝炎、胆汁うっ滞、黄疸(おうだん)等)及び汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている。
本剤を使用する場合には、投与前に肝機能検査及び血液検査を行い、本剤の投与中は随伴症状に注意し、定期的に肝機能検査及び血液検査を行うなど観察を十分に行うこと。
本剤の投与開始にあたっては、添付文書を熟読すること。(添付書類は医師向けに書かれています)
肝臓の機能に負担をかける可能性があるということです。
そのために処方前と服用中も定期的な「血液検査」が必要です。もし血液検査なしに飲み薬が処方されるようなことがあれば、必ず医師に尋ねましょう。
次の患者には投与しないこと
- 重篤な肝障害のある患者(肝障害が増悪するおそれがある)
- 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少等の血液障害のある患者(血液障害が増悪するおそれがある)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
肝臓に病気がある場合は使用ができないということです。
また重要な基本的注意では「眠気、めまい・ふらつき等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意」ということがあげられています。
処方薬の飲み薬ラミシールの副作用の例
薬を内服し始めて下記のような症状が出た場合は副作用の可能性がありますので、すぐに担当のお医者様に相談しましょう。
「胃部不快感、下痢、悪心(はきけ、むかつき)、腹痛、胃部膨満感、発疹(皮膚のぶつぶつ)、頭痛、食欲不振」
発症率は0.01%ですが、副作用の中でも重大な副作用として「重篤な肝障害(肝不全、肝炎、胆汁うっ滞、黄疸等)」も可能性としてはありますので、定期的な血液検査で肝機能の働きを確認してもらうことが重要です。
他に注意するべきこととしては下記のようなことがあげられます。
高齢者への投与
高齢者では一般に肝・腎機能が低下していることが多いため副作用に注意し、状態をみながら慎重に使用すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
動物実験(ラット)では母乳の中へ薬が入ることが報告されているので、授乳中の女性は使用しないこと。
小児等への投与
新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。
このような理由から高齢者、妊娠中か妊娠の可能性がある方、授乳中のお母さん、お子さんには処方されないでしょう。
もし処方されるような場合は、安全性、副作用についてや疑問点について必ずすべて詳しく専門医に尋ねる必要があります。とっても大切なことです!
処方薬の飲み薬イトラコナゾールの注意書きと副作用
イトラコナゾールも爪水虫に効果の高い飲み薬ですが、一緒に服用できない薬が大変多いのが特徴です。
次の患者には投与しないこと
- ピモジド、キニジン、ベプリジル、トリアゾラム、シンバスタチン、アゼルニジピン、ニソルジピン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン、バルデナフィル、エプレレノン、ブロナンセリン、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、アスナプレビル、バニプレビル、スボレキサント、イブルチニブ、チカグレロル、アリスキレン、ダビガトラン、リバーロキサバン、リオシグアトを投与中の患者
- 肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
- 重篤な肝疾患の現症、既往歴のある患者(不可逆的な肝障害におちいるおそれがある)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
肝臓、腎臓を患っている方、妊娠中、妊娠予定のある方は使えません、そして現在他の病気で薬を服用している方は一緒に使えない薬がありますので正しい確認が必要です。
併用が禁止されている薬(製品名)
オーラップ、硫酸キニジン、ベプリコール、ハルシオン、リポバス、カルブロック、レザルタス配合錠、バイミカード、クリアミン配合錠、ジヒデルゴット、エルゴメトリンマレイン酸塩注、メテルギン、レビトラ、セララ、ロナセン、レバチオ、アドシルカ、スンベプラ、ジメンシー配合錠、バニヘップ、ベルソムラ、イムブルビカ、ブリリンタ、ラジレス、プラザキサ、イグザレルト、アデムパス
スペース上この記事ではご紹介できませんが、こられの薬にプラスして併用注意の薬もたくさんありますので、現在服用中の薬はすべて書き出して、医師に伝えましょう。
そして他の病気で病院を訪れる場合は必ず水虫の内服薬を使用している旨、そして薬の名前、使用期間を伝えましょう。
処方薬の飲み薬イトラコナゾールの副作用の例
ちょっとびっくりしたのは、これほど注意が必要な薬なのに、飲み薬のラミシールのように副作用が起こる具体的な頻度は明記されていません。。
添付書を見る限りではありとあらゆる副作用の可能性が書かれています。
重大な副作用
うっ血性心不全、肺水腫:下肢浮腫(足のむくみ)、呼吸困難等
肝障害、胆汁うっ滞、黄疸:食欲不振、嘔気、嘔吐、倦怠感、腹痛、褐色尿
皮膚や粘膜の重い障害
ショック、アナフィラキシー:チアノーゼ(皮膚とくに唇や爪先が青紫になる)、冷汗、血圧低下、呼吸困難、胸内苦悶(胸の部分に圧迫感、窒息感など違和感を感じる)
間質性肺炎:咳嗽(がいそうーせき)、呼吸困難、発熱、肺音の異常
その他の副作用(たくさんあげられています、これは一部です)
腹部不快感、胃炎、皮膚の発疹、蕁麻疹、皮膚乾燥、倦怠感、めまい、頭痛など
注意するべきこととしては下記のことが記されています。
高齢者への投与
高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすいので消化器症状等副作用があらわれた場合は減量又は休薬するなど慎重に使用すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人は使用しないこと。動物実験(ラット、マウス)で催奇形性が報告されています。
授乳中の婦人には本剤使用中の授乳を避けさせること。ヒトで母乳の中へ薬が入ることがが報告されています。
小児等への投与
小児への投与は使用例が限られており、重症な感染症例で治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
このような理由から高齢者、妊娠中か妊娠の可能性がある方、授乳中のお母さん、お子さんには処方されないでしょう。
もし処方されるような場合は、安全性、副作用についてや疑問点について必ずすべて詳しく専門医に尋ねる必要があります。とっても大切なことです!
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処方薬の塗り薬クレナフィン、ルコナックの注意書きと副作用
長い間飲み薬しか効果がないといわれていた爪水虫についに2014年「クレナフィン」、2016年には「ルコナック」という処方薬の塗り薬が登場します。
ではクレナフィン、ルコナックを使用する際にはどのようなことに注意するべきかをみてみましょう。
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
クレナフィンとルコナックに含まれる成分で以前にアレルギーや中毒症状、体に異常がでたことがある場合は使用ができません。
注意するべきことには以下のことが書かれています。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない)
授乳中の婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(動物実験(ラット)で母乳の中に薬が入ることが報告されている)
小児等への投与
新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。
妊娠中の使用や子供の使用に関して、塗り薬なので大丈夫だと思ったのですが、安全性は確認されていないようです。
実際には処方されることも多いようなのですが、私なら不安になってしまいます。大切なことですので分からない点、疑問点はお医者様に必ず納得できるまで全部聞きましょう。
処方薬の塗り薬クレナフィンの副作用
皮膚炎が主な副作用です、薬を使用し始めてこのような症状が出た場合はすぐ担当の医師に相談しましょう。
「皮膚炎、水疱、紅斑(皮膚表面が赤くなる、圧迫すると消える)、腫脹(腫れる)、疼痛(痛み)、そう痒(かゆみ)、皮膚剥脱(皮膚が剥がれ落ちる)、異常感覚、爪甲脱落(爪の表面が浮き上がってくる)、変色、湿疹など」
処方薬の塗り薬ルコナックの副作用
同じく患部の皮膚炎が主な副作用としてあげられています。患部に異常を感じる場合はすぐに薬の使用をストップして担当医に相談しましょう。
「皮膚乾燥、接触皮膚炎、爪囲炎(そういえん、爪の周りが赤くなったり化膿する)、乾燥症など」
水虫薬の副作用のまとめ
たかが水虫と思って気軽に塗り薬など使用しがちですが、水虫薬もれっきとした薬ですので、使用できない方、使用に注意が必要な方があり、また副作用が出る可能性があります。
このような注意点や副作用は薬局の薬剤師さんや、皮膚科の先生に詳しく聞くのが一番ですが、今回の記事が少しでも参考になればうれしいです。